全くの初心者向け 色鉛筆画の始め方 低コストで温かみのある絵を描く
絵を描くことに興味はあるものの、「何から始めれば良いのだろう」「特別な才能や高価な道具が必要なのでは」と感じて、なかなか最初の一歩を踏み出せない方もいらっしゃるかもしれません。描画材には様々な種類がありますが、中でも色鉛筆画は、手軽に始めやすく、温かみのある表現ができる魅力的な趣味です。
なぜ色鉛筆画が初心者におすすめなのか
色鉛筆画が初心者の方におすすめできる理由はいくつかあります。
- 手軽さ: 紙と色鉛筆があればすぐに始められます。特別な設備や広い場所は必要ありません。
- 費用の抑えやすさ: 後述しますが、最低限の道具であれば数百円から揃えることができます。
- 失敗を修正しやすい: 鉛筆なので、完全に消えるわけではありませんが、他の画材に比べて比較的修正がしやすいという特徴があります。
- 多様な表現: 筆圧の調整や色の重ね塗りによって、様々なトーンや質感を表現できます。
水彩絵の具のように水を扱う準備や片付けも不要なため、思い立った時にすぐに取り掛かれる点も大きな魅力です。
色鉛筆画を始めるために必要なもの
色鉛筆画を始めるのに、最初から全てを完璧に揃える必要はありません。まずは最低限のものから始めて、慣れてきたら少しずつ買い足していくのが良いでしょう。
最低限必要なもの
- 色鉛筆: 基本的な12色程度のセットがあれば十分です。まずは身近な100円ショップや文房具店で売られているもので試してみるのも良いでしょう。
- 紙: スケッチブックや画用紙が適していますが、最初は手持ちのコピー用紙やメモ帳などでも練習できます。
- 鉛筆削り: 色鉛筆の芯を削るために必要です。携帯用の小さなもので構いません。
- 消しゴム: 間違えた部分を修正するために使います。一般的なプラスチック消しゴムで大丈夫です。
あると便利なもの・ステップアップで揃えたいもの
- 少し色の多い色鉛筆セット: 24色や36色セットがあると、表現の幅が広がります。メーカーによって色の特徴や描き心地が異なりますので、気に入ったものを見つけるのも楽しみの一つです。
- 練り消しゴム: 紙を傷めずに色鉛筆の粉を吸着させたり、ハイライトを入れたりするのに便利です。
- フィキサチーフ(定着液): 描いた絵の表面にスプレーすることで、色が擦れてしまうのを防ぐことができます。額装したい場合などに検討すると良いでしょう。
- 厚手の紙: 画用紙や水彩紙など、少し厚みのある紙は重ね塗りに強く、表現の幅が広がります。
費用を抑える工夫
最初は100円ショップで色鉛筆とスケッチブックを購入すれば、数百円で始めることができます。慣れてきて「もう少し良いものが欲しいな」と感じてから、文房具店で評判の良いメーカーの色鉛筆の基本セット(12色など)を購入したり、紙の種類を変えてみたりするのがおすすめです。最初から高価なセットを揃える必要はありません。
費用について
初期費用は、選ぶ道具によって大きく変わります。
- 最低限: 100円ショップで揃えるなら数百円程度。
- 一般的な初心者向けセット: 文房具店で色鉛筆セット(12色〜24色)とスケッチブック、消しゴムなどを購入する場合、2,000円〜5,000円程度が目安となるでしょう。
継続してかかる費用としては、主に紙と色鉛筆の補充費用です。紙は頻繁に描くなら消費しますが、色鉛筆はすぐになくなるものではありません。特定の減りが早い色だけバラで購入することも可能ですので、全体の費用はそれほどかからないと言えます。
始める具体的なステップ
全くの初心者の方が色鉛筆画を始めるためのステップをご紹介します。
- 道具を準備する: まずは最低限の色鉛筆と紙、削り器、消しゴムを用意します。
- 線を引いてみる: 色々な色の色鉛筆で、自由に線を引いてみましょう。線の太さや筆圧の違いによる色の濃淡を感じてみてください。
- 色を塗ってみる: 用紙に円や四角を描き、一色で塗りつぶしてみます。均一に塗る練習や、グラデーションを作る練習をしてみましょう。筆圧を変えながら塗ることで、表現の幅が広がります。
- 簡単な形を描いて塗る: 丸や三角などの単純な形を描き、色を塗ってみます。影になる部分を少し濃い色で塗るなど、簡単な陰影表現に挑戦してみましょう。
- 身近なものを描いてみる: りんごやみかん、カップなど、自宅にある簡単なモチーフを観察して描いてみます。形を捉える練習と、観察した色を表現する練習になります。
- 重ね塗りに挑戦する: 二色以上の色を重ねて塗ることで、深みのある色や新しい色を作ることができます。例えば、黄色の上に薄く青を重ねると緑色に近づきます。
- 好きな絵や写真を模写してみる: 好きなイラストや写真を見ながら描いてみるのも良い練習になります。完璧にそっくりに描く必要はありません。
最初は「うまく描こう」と気負いせず、自由に色や線を楽しむ気持ちで取り組むことが大切です。
時間や場所について
色鉛筆画は、時間や場所の制約が少ない趣味です。
- 時間: 1枚の絵を完成させるのに数時間かかることもありますが、部分的に少しずつ進めることも可能です。10分や15分といった短い隙間時間を使って、線の練習をしたり、モチーフの一部だけを塗ったりすることもできます。週に数時間でも、無理なく自分のペースで続けられる趣味です。
- 場所: 自宅のテーブルや机があれば十分です。特別なイーゼルや広いスペースは必要ありません。ダイニングテーブルの片隅や、リビングの小さなテーブルでも手軽に始められます。
一人で、または家族と一緒に楽しむ
色鉛筆画は、一人で集中して取り組むことで、日々の忙しさを忘れてリラックスする時間を過ごすことができます。自分のペースでじっくりと作品制作に没頭する時間は、心のリフレッシュに繋がるでしょう。
また、小さなお子さんから大人まで、紙と色鉛筆があれば一緒に楽しめる点も魅力です。同じモチーフを見ながらそれぞれ描いてみたり、塗り絵を一緒に楽しんだりすることで、家族のコミュニケーションツールとしても活用できます。お子さんの成長に合わせて、共同で大きな絵を描くといった楽しみ方もできます。
初心者がつまずきやすい点とその対処法
- 「絵が下手だから描けない」: 完璧な絵を目指す必要はありません。最初は線や色の練習、簡単なモチーフから始めてみましょう。上手に描くことよりも、「描くこと自体を楽しむ」ことに焦点を当てると、気楽に取り組めます。
- 「何を描けば良いか分からない」: 身近なもの(果物、野菜、日用品)、好きなもの(花、動物)、あるいはインターネット上にあるフリーの練習用写真などを参考にしてみましょう。最初は好きなものの「形」を真似るだけでも十分な練習になります。
- 「色が思ったように出ない」: 色鉛筆は重ね塗りで様々な色を作れます。単色で塗るだけでなく、複数の色を薄く重ねてみたり、筆圧を変えてみたりすることで、表現の幅が広がります。
- 「飽きてしまった」: 毎日描く必要はありません。気が向いた時に描くスタイルで大丈夫です。また、描くモチーフを変えたり、水彩色鉛筆など違う種類の色鉛筆を試してみたり、SNSなどで他の人の作品を見て刺激を受けるのも良い方法です。
まとめ
色鉛筆画は、少ない初期投資で始められ、時間や場所を選ばずに楽しめる、初心者にとって非常におすすめの趣味です。特別な才能がなくても、紙と色鉛筆があれば誰でも温かみのある絵を描く楽しみを知ることができます。
まずは100円ショップの道具からでも構いません。お気に入りの色を見つけたり、重ね塗りで新しい色を発見したりする過程は、きっと新鮮な発見と喜びをもたらしてくれるでしょう。気負わず、あなたのペースで、色鉛筆画の世界に最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。