全くの初心者向け ぬか漬け・簡単な保存食作りの始め方 低コストで食卓を豊かに
ぬか漬けやジャム、ピクルスといった保存食作りは、手間がかかる難しい趣味だと感じている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実は初心者でも手軽に始められる方法が多くあります。
この趣味の魅力は、何と言っても自家製の美味しさを味わえること、そして食品ロスを減らせる可能性があることです。余ってしまいがちな野菜や果物を無駄なく活用し、食卓にもう一品加えたり、手作りならではの安心感を得たりすることができます。特別な材料や高価な道具がなくても始められるため、費用を抑えたい方にも適しています。
初心者がぬか漬け・保存食作りを始めるためのステップ
全く初めての方がぬか漬けや保存食作りを始める場合、まずはご自身が「作ってみたい」と思うものから一つ選んで挑戦してみるのがおすすめです。
例えば、ぬか漬けに挑戦したい場合は、市販の「ぬか床キット」を利用するのが最も手軽な始め方です。すでに発酵がある程度進んでいる状態のものが多く、買ったその日から野菜を漬け始めることができます。キットに付属している説明書をよく読み、指定された手順に従って野菜の下準備(洗って水気を拭き取る、必要に応じて塩を振るなど)を行い、ぬか床に漬けてみましょう。
ジャムやピクルスのような簡単な保存食であれば、まずはインターネットや料理本で初心者向けの簡単なレシピを探してみましょう。例えば、いちごジャムなら「いちご」「砂糖」「レモン汁」があれば作れますし、きゅうりのピクルスなら「きゅうり」と「酢、砂糖、塩、スパイスなど」で基本的なものは作れます。レシピに沿って材料を準備し、手順通りに進めてみてください。
最初から完璧を目指す必要はありません。まずは少量だけ作ってみたり、失敗しても次につなげる気持ちで取り組んだりすることが大切です。
必要な道具や材料について
ぬか漬けにしても、簡単な保存食にしても、始めるために特別な道具をたくさん揃える必要はありません。
ぬか漬けの場合
最低限必要なものは以下の通りです。
- ぬか床: 市販のぬか床キット、または自分で米ぬか、塩、水などを混ぜて作る方法があります。初心者はキットから始めるのが簡単です。
- 容器: ぬか床を入れる容器が必要です。ホーロー製、陶器製、ガラス製、プラスチック製(タッパーなど)など様々な素材があります。大きさは漬けたい量に合わせて選びます。
- 野菜: 漬けたいお好みの野菜。きゅうり、なす、大根などが定番です。
費用を抑える工夫としては、容器は自宅にある蓋付きのタッパーなどを活用することができます。ただし、プラスチック製は匂いがつきやすいという側面もあります。100円ショップでも大きめのプラスチック容器が見つかることがありますので、試してみる価値はあるでしょう。
簡単な保存食(ジャム、ピクルスなど)の場合
最低限必要なものは以下の通りです。
- 材料: 対象となる果物や野菜、そして砂糖や塩、酢、スパイスなどレシピに必要な調味料。
- 鍋: ジャム作りなどで加熱調理をする場合に必要です。普段お料理に使っているもので構いません。
- 保存容器: 煮沸消毒ができるガラス瓶などがおすすめです。清潔な状態で密閉できるものを選びましょう。
- 基本的な調理器具: 包丁、まな板、計量カップ、計量スプーンなど、普段お料理で使うものがそのまま使えます。
保存容器は、食品の空き瓶などをきれいに洗って煮沸消毒すれば再利用できる場合があります。100円ショップでも様々なサイズのガラス瓶やプラスチック容器が販売されていますので、用途に合わせて探してみるのも良いでしょう。
費用について
初期費用は、選ぶものや道具の選び方によって大きく変わります。
- ぬか漬け: 市販のぬか床キットが1,000円〜3,000円程度、容器が0円(自宅にあるもの)〜数千円です。合計で1,000円〜5,000円程度から始められます。
- 簡単な保存食: 材料費+保存容器代が主です。ジャムなら果物代+砂糖代、ピクルスなら野菜代+調味料代+瓶代となります。一度に大量に作らなければ、数百円〜数千円程度で収まることが多いです。
継続する場合にかかる費用は、主に材料となる野菜や果物代、ぬか漬けの場合は時々足す米ぬかや塩などです。これらは日々の食料品購入の延長と考えることもでき、特別大きな負担になることは少ないでしょう。むしろ、食材を無駄なく使えることで、長期的に見れば節約につながる可能性もあります。
低コストで始めるためには、まず手頃な価格の食材で試すこと、容器などを家庭にあるものや100円ショップのもので代用すること、そして少量から始めて無駄を出さないことがポイントです。
時間について
趣味に使える時間が限られている方でも、ぬか漬けや簡単な保存食作りは無理なく楽しめます。
ぬか漬けは、最初の準備は30分から1時間程度かかるかもしれませんが、一度できてしまえば毎日の手入れはぬか床を混ぜる数分程度です。野菜を漬けておく時間はものによりますが、短いものでは半日程度から食べられます。毎日のスキマ時間で続けることができます。
ジャムやピクルスなどの保存食作りは、作る種類や量によりますが、1回あたり1時間〜2時間程度で完成させられるものが多いです。週末にまとめて作っておき、平日はそれを楽しむといったスタイルも可能です。一度に長時間確保する必要はなく、数十分の空き時間を利用して下準備だけしておく、といった工夫もできます。
毎日必ず時間を取る必要はありません。ぬか漬けは毎日または数日に一度の手入れが必要ですが短時間で済みますし、保存食作りはご自身の都合に合わせて「今日はジャムを作ろう」「今週はピクルスを仕込もう」というように計画的に楽しむことができます。週に数時間程度でも十分取り組める趣味と言えるでしょう。
場所について
ぬか漬けや簡単な保存食作りは、基本的に自宅のキッチンで完結します。特別な場所を用意する必要はありません。
ぬか漬けの容器を置くスペース(常温または冷蔵庫内)、保存食を冷ます場所や保存しておく場所があれば十分です。マンションやアパートなど、あまり広いスペースがない環境でも問題なく始められます。
一人で楽しむ、家族と楽しむ
この趣味は、一人で黙々と作業に集中して楽しむこともできますし、家族と一緒に取り組むことも可能です。
一人でじっくりと取り組むことで、日常の忙しさを忘れ、集中する時間を過ごすことができます。ぬか床の状態の変化を観察したり、新しいレシピを試したりと、自分自身のペースで深く楽しむことができるでしょう。
家族と一緒に楽しむ場合は、例えばぬか漬けに家族で交代で野菜を漬けたり、子供と一緒にぬか床を混ぜたりすることができます。季節の野菜について話したり、発酵の様子を観察したりと、食育にもつながる良い機会になります。ジャム作りなども、果物の下準備を一緒にしたり、完成したものを皆で味見したりと、共同作業として楽しめます。作ったものを家族で一緒に「美味しいね」と味わう時間は、この趣味の大きな喜びの一つとなるはずです。
初心者がつまずきやすい点とその対処法
ぬか漬けや保存食作りに限らず、初めてのことに挑戦する際にはいくつか戸惑うことがあるかもしれません。
ぬか漬けでつまずきやすい点
- カビが生える: ぬか床をかき混ぜる頻度が少なかったり、水分が多すぎたりするとカビが生えることがあります。表面に白い膜のようなものが張るのは産膜酵母というもので問題ないことが多いですが、はっきりした色のカビ(青、緑、黒など)が生えた場合は、その部分を丁寧に取り除きます。混ぜる回数を増やしたり、塩や唐辛子、山椒などを加えて雑菌の繁殖を抑える工夫をしたりすることが有効です。
- 味が安定しない: ぬか床は生き物ですので、環境や手入れの状況によって味が変化します。毎日しっかり混ぜること、水っぽくなったら乾いた米ぬかや塩を足すことなどで徐々に安定してきます。根気強く続けることが大切です。
保存食作りでつまずきやすい点
- 保存中に傷んでしまう: 保存容器の殺菌が不十分だったり、水分が残っていたりすると傷みやすくなります。瓶をしっかり煮沸消毒し、蓋をするまで清潔な状態を保つように注意しましょう。レシピに記載されている適切な保存方法(冷蔵、冷凍など)と保存期間の目安を守ることも重要です。
どちらの場合も、最初から完璧を目指さず、「こうなったらどうしよう」と過度に心配しすぎないことが大切です。困った時はインターネットで情報を調べたり、経験者の話を聞いたりしてみるのも良いでしょう。
まとめ
ぬか漬けや簡単な保存食作りは、自宅で手軽に始められ、少ない費用と時間で楽しめる魅力的な趣味です。特別な道具は不要で、自宅にあるものでも始められるため、経済的な負担も少なく済みます。
一人でじっくり取り組むことも、家族と一緒に楽しむこともでき、日々の食卓を豊かに彩ってくれます。最初は戸惑うことがあるかもしれませんが、失敗を恐れずに挑戦してみることで、自家製ならではの美味しさや、食材を大切にする喜びを感じられるはずです。
まずは市販のキットを使ったり、簡単なレシピを選んだりして、最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。